CAR & DRIVER誌に掲載された記事のご紹介です。
私は、日本出版美術家連盟の他に、オートモビルアート連盟と日本理科美術家協会に所属していまして、それぞれに載せているエッセイのようなものがあります。
オートモビルアート連盟は、日本版のCAR and DRIVER(カーアンドドライバー)誌の編集部の中に事務局があります。
その関係で時々「僕の代表作 好きな作品」というページを依頼されます。
もう一つの日本理科美術家協会には会員の会報誌があり、エッセイを載せる当番があります。私も2回書いたものがありますので、順次、皆様にご紹介をさせて頂きます。
2014年10月、三菱重工業・三菱航空機が開発中の国産初の小型ジェット旅客機・MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)のプロトタイプが公開されました。15年春に飛行実験開始の予定で、完成すれば、戦後初のYS
―11(プロペラ機、1965年就航)以来、約50年ぶりの国産旅客機となり、日本の航空機史上、画期的な出来事で、嬉しくなりました。
ボクは、飛行機をはじめ、乗り物は何でも大好きですが、とくに第2次大戦中のプロペラ機に魅力を感じています。戦前、三菱重工業が開発した有名なプロペラ機といえば、零戦(零式艦上戦闘機)です。零戦の初飛行は1939年。第2次大戦の終わりまで数多くの派生型が生まれ、約1万機が製造されました。設計者・堀越二郎の半生を描いたドラマ、宮崎駿監督のアニメーション映画『風立ちぬ』(2013年)の話題は記憶に新しいところです。また、2014年11月「零戦、米国から帰国」という報道もありました。上の作品は、零戦二二型/零戦二二型甲で、全幅(翼長)
12・0m、全長9・121m、全高3・57m。空冷星型エンジン(栄二一型、排気量2万7900㏄、出力1130㎰以上)。最高速度は540㎞/h以上。航続距離は、増槽(機体の下部に設置された追加燃料タンク)付きで、約2560㎞です。
イラスト制作時には、時代背景とデータ調べ、最新資料の入手がキメ手です。それでも描くたびに不明の個所があり、いつも悩まされています。プラモデルのパッケージ用イラストは、モデル作りや塗装の参考データとして重視されるため、機体の表現だけでなくディテールへのこだわりが重要です。
よく代表作について質問されますが、プロとして長年描いてきているので、作品数も多く、「これだ!」と、自分自身ではなかなか決められません。テーマとなる対象物(乗り物)に興味を抱いて、こだわりを持ち、自分が納得できる表現ができた作品は、とくに思い入れがあります。さまざまな乗り物を描いてきた中で、上の作品は、「ボクもようやく飛行機が描けるようになった」とひとりツブやいています。